大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(つ)36 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

理 由

抗告人Aの抗告理由は本件決定は弁護人の公訴棄却及異議申立理由により明かな

如く

一、公判廷の審理の過程に於て政令第二〇一号の有効性に付いて重大な疑問が生じ

つゝあるのであるから右政令の有効性について何らの判断を示さないで事実審理に

入ることは憲法に反する即ち、

二、裁判所は政令が無効か否かについては事実審理を終つた後に最後に判断すべき

ものと説示するが之は弁護人の異議申立書に述べた如く訴訟の現況に於ては処罰法

条がないのに有罪か無罪かの事実審理を行ふといふ印象を人民大衆に与えたるもの

であつて憲法前文に所謂国民が等しく恐怖と欠乏から免がれ平和の裡に生存する権

利を有することを確認した趣旨に反するものであり国民に対して公平な裁判である

かどうかを疑はせるに充分であつて憲法第三十七条第一項の趣旨にも反する。

三、右にも拘らず裁判所は憲法に反しないと予断を抱き判断したものであつて、不

当である。というにある。

しかしながら裁判所は、公判手続において事実審理に入るに先立つて、公判請求

書に記載された罪名の基本である刑罰法令が違憲無効であるか否かについて、たと

い被告人、弁護人又は検察官からその判断の開示の請求があつた場合においても、

先づその判断を示すことを要しないしまた裁判所が右判断を示すことなく事実審理

に入ることをもつて「有罪の予断を抱く」ものとか又は「被告人に恐怖を強いる」

ものとか云うこともできないし、これを憲法第三十七条に違反するものとすること

もできないことは既に当裁判所の判例(昭和二三年(つ)第二六号、昭和二三年一

一月五日決定)とするところである。

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よつて本件抗告は理由がないから刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四六六

条第一項後段最高裁判所裁判事務処理規則第九条第四項に従い主文のとおり決定す

る。

この決定は裁判官全員の一致した意見である。

昭和二十四年一月十八日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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